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被害想定は、過去のデータに基づき一定の仮定のもとで算出されたものであり、常に進化発展を続けている社会情勢を考慮すると、経験のない事象に対して想定外な問題が発生する可能性もある。
中でも、パニックの発生、金利、株価等の変動による癖済活動-の影響も指摘されており、さらなる調査研究が求められている(防災自書より)。
大規模な地震が発生した場合、被害は建物の倒壊等の直接被害にとどまらず、ネットワークによってつながっている広範囲な企業の経済活動全般に影響が生じるということを意味している。 特に、昨今は売れ残りや金利負担を考慮して「在庫リスク」を軽減し、在庫をもたない経営が浸透しているため、地震でサプライチェーンの1箇所でも滞りが発生すると、全体の経済活動が機能を停止する。
経済活動がグローバル化しており、一極集中のリスクを避けているものの、自然災害や事故のような突発的な寸断事象が発生すると、広いネットワークも脆弱な一面を露呈することになる。 世界の地震エネルギーの約15%が日本列島に集中しているといわれ、いずれ見舞われるかもしれない大地震に対して、企業はどのような備えをし、どのようなマネジメント体制を敷くべきなのだろうか。
地震は交通事故のように自らの努力やメカニズムの解明によって発生確率を低下させることはできないものであり、発生そのものをコントロールすることができないリスクである。 大地震のような、発生確率こそ低いものの、損失額が膨大になるキヤタストロフイツクリスクに対するマネジメントとはいかにあるべきなのか。
これには発生そのものが避けられないという観点に加えて、発生した時の対応策に重点を置く必要がある。 大震災の前後の歴史を概観し、大地震発生時にはどのようなことが想定されるのか、過去のデータから考えてみたい。
当然のことながら20世紀初頭は社会、政治、経済など状況そのものに違いはあるが、大地震発生時の経済活動へのインパクトに関しては重要な示唆を与えて まず、 1923年9月1日の関東大震災の前後を概観する。 1914年の第1次大戦後のバブル的過熱期の反動から、 1920年3月に株価が暴落、綿糸、生糸、米をはじめとする主要な商品市場価格も崩落し、不況に突入した。
破綻企業を取引先とする銀行に対して信用不安も発生し、取り付け騒ぎが頻発、 1920年4月から7月の間に取り付けを受けた銀行は169行、休業に追い込まれた銀行は21行に達した。 その後、一時的な回復も見られたが、 1922年10月に日本商工銀行(京都)、 11月に日本積善銀行(同)の休業により、再び取り付け騒ぎが全国に拡大していく。
1923年9月、関東大震災は発生した。 政府がとった災害支援策は、被災企業の発行した手形のうち市中銀行が割引、一定の条件を具備した「震災手形」については、日銀再割引の対象とし、かつこれら手形の取り立てを猶予することによって、信用供与したことであった。
手形支払期日の到来とともに信用不安が高まり、 1927年3月および4月に2回にわたる全国的な取り付け騒ぎが発生し、この過程で神戸の大手商社であった鈴木商店が倒産した。 昭和の金融恐慌である。
時の田中義一内閣は、 3週間の支払猶予(モラトリアム)を実施した。 次に、 1995年1月17日の阪神淡路大震災の時を振り返ってみる。
震災当日、大蔵省と日本銀行は、兵庫県および大阪府内の金融機関が預金者の便宜を図るため17日から20日まで、払い出し等に金融特別措置をとった。 また、決済資金を確保できない被災企業の急増に備え、一定期間、手形の決済を猶予する特例措置をとった。
中央防災会議では最大損失額が国家予算を上回る試算が示されており、政府もどの程度の財政的余裕をもっておく必要があるのか、国際的にも機能の中断の許されない政府の指揮命令機能に対するリスクマネジメントを検討しているはずである。 歴史的な大地震に際しては、大規模な財政支出が行われてきたが、今後もこのような支援策が期待できるのだろうか。
政府の意思決定もスピードアップが図られており、阪神大震災の時には地震発生からまもなく、支援策の行われることが発表され、早期に実施の運びとなっている。 今後は次の二点により、政府の支援策ばかりに期待できないことを示しておく。
中央防災会議がまとめた首都直下地震の影響はあくまで試算であり、このシミュレーションどおりの被害状況になるかは誰も予測できないということである。 いつ起きるかもわからない首都直下地震は、発生時期が将来に伸びるほど社会経済は進化し、被害はさらに大きくなるかもしれないという、問題点が指摘できる。
小泉構造改革により、小さな政府の実現に向けて中央政府の関与する余地は小さくなりつつあり、大地震についても首都という自治体の問題解決に委ねられる部分も大きくなる可能性がある。 東京都防災会議は政府の試算よりもさらに厳しく被害想定を見積もっており、都市型災害への備えを検討している。
8つある政府系金融機関は2006年中にも1機関への統合案が示される方向にあり、全般的に公的金融は今後縮小方向に向かうことが予想される。 したがって、全面的に公的金融に頼ることができなくなる可能性を考慮しなければならない。
国内マクロ経済全般にみて、財政政策の効果が薄れている認識が広まっていることも見逃すことが出来ない。 歴史的に見ても20世紀に経験した2度の大地震で、政府は財政出動をしたものの、結果的に一時しのぎに終わったばかりか、その後の経済にさらに大きな傷を残すこととなった。
関東大震災の後には昭和の金融恐慌-、阪神淡路大震災の後には相次ぐ金融機関の破綻、負債を抱えた上場企業の倒産、都市銀行の国際金融市場での地位失墜など国内経済全般が停滞し、長期にわたるデフレの進行でいわば「平成の金融恐慌」とも言える時代をすごしたことは記憶に新しいだろう。 大地震が起きたら、自社の建物や工場が倒壊する、取引先のインフラが倒壊する、その復旧までにどのくらいの時間がかかり、費用はいくらかかるか、ここまでは想像に難くない。
最大の問題は政府の中央防災会議が指摘しているように、間接被害の発生である。 生産体制やサービス供給体制が地震発生によって一時的に停止し、当初見込んでいた売上高を達成できない、当初の拡大計画を中止せざるをえなくなるなどして、利益の低下につながる。
結果的に、企業価値の低下、資金調達力の低下、さらに企業経営が困難になるという悪循環に陥る。 したがって、大地震発生時には、できるだけ早期に事業活動を復旧し、売上や利益の低下に歯止めをかけることが大切である。
このことは、経済産業省の「事業継続計画策定ガイドライン」において、 Business Continuity Management (以下BCM)の重要性が指摘されている。 その中でBCMとは、組織を脅かす潜在的なインパクトを認識し、利害関係者の利益、名声、ブランド及び価値創造活動を守るため、復旧力及び対応力を構築するための有効な対応を行うフレームワーク、包括的なマネジメントプロセスと定義されている。
事故は起こりうるものとの前提に立ち、突発的な事故が発生した場合であっても事業を中断せず維持するために、各企業において事業継続計画を策定することが重要であるとされている。
大地震発生時もこのBCMの概念が妥当する。 被害は避けられないができるだけ小さくかつ短期に抑えるということである。
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地震は交通事故のように自らの努力やメカニズムの解明によって発生確率を低下させることはできないものであり、発生そのものをコントロールすることができないリスクである。 大地震のような、発生確率こそ低いものの、損失額が膨大になるキヤタストロフイツクリスクに対するマネジメントとはいかにあるべきなのか。
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当然のことながら20世紀初頭は社会、政治、経済など状況そのものに違いはあるが、大地震発生時の経済活動へのインパクトに関しては重要な示唆を与えて まず、 1923年9月1日の関東大震災の前後を概観する。 1914年の第1次大戦後のバブル的過熱期の反動から、 1920年3月に株価が暴落、綿糸、生糸、米をはじめとする主要な商品市場価格も崩落し、不況に突入した。
破綻企業を取引先とする銀行に対して信用不安も発生し、取り付け騒ぎが頻発、 1920年4月から7月の間に取り付けを受けた銀行は169行、休業に追い込まれた銀行は21行に達した。 その後、一時的な回復も見られたが、 1922年10月に日本商工銀行(京都)、 11月に日本積善銀行(同)の休業により、再び取り付け騒ぎが全国に拡大していく。
1923年9月、関東大震災は発生した。 政府がとった災害支援策は、被災企業の発行した手形のうち市中銀行が割引、一定の条件を具備した「震災手形」については、日銀再割引の対象とし、かつこれら手形の取り立てを猶予することによって、信用供与したことであった。
手形支払期日の到来とともに信用不安が高まり、 1927年3月および4月に2回にわたる全国的な取り付け騒ぎが発生し、この過程で神戸の大手商社であった鈴木商店が倒産した。 昭和の金融恐慌である。
時の田中義一内閣は、 3週間の支払猶予(モラトリアム)を実施した。 次に、 1995年1月17日の阪神淡路大震災の時を振り返ってみる。
震災当日、大蔵省と日本銀行は、兵庫県および大阪府内の金融機関が預金者の便宜を図るため17日から20日まで、払い出し等に金融特別措置をとった。 また、決済資金を確保できない被災企業の急増に備え、一定期間、手形の決済を猶予する特例措置をとった。
中央防災会議では最大損失額が国家予算を上回る試算が示されており、政府もどの程度の財政的余裕をもっておく必要があるのか、国際的にも機能の中断の許されない政府の指揮命令機能に対するリスクマネジメントを検討しているはずである。 歴史的な大地震に際しては、大規模な財政支出が行われてきたが、今後もこのような支援策が期待できるのだろうか。
政府の意思決定もスピードアップが図られており、阪神大震災の時には地震発生からまもなく、支援策の行われることが発表され、早期に実施の運びとなっている。 今後は次の二点により、政府の支援策ばかりに期待できないことを示しておく。
中央防災会議がまとめた首都直下地震の影響はあくまで試算であり、このシミュレーションどおりの被害状況になるかは誰も予測できないということである。 いつ起きるかもわからない首都直下地震は、発生時期が将来に伸びるほど社会経済は進化し、被害はさらに大きくなるかもしれないという、問題点が指摘できる。
小泉構造改革により、小さな政府の実現に向けて中央政府の関与する余地は小さくなりつつあり、大地震についても首都という自治体の問題解決に委ねられる部分も大きくなる可能性がある。 東京都防災会議は政府の試算よりもさらに厳しく被害想定を見積もっており、都市型災害への備えを検討している。
8つある政府系金融機関は2006年中にも1機関への統合案が示される方向にあり、全般的に公的金融は今後縮小方向に向かうことが予想される。 したがって、全面的に公的金融に頼ることができなくなる可能性を考慮しなければならない。
国内マクロ経済全般にみて、財政政策の効果が薄れている認識が広まっていることも見逃すことが出来ない。 歴史的に見ても20世紀に経験した2度の大地震で、政府は財政出動をしたものの、結果的に一時しのぎに終わったばかりか、その後の経済にさらに大きな傷を残すこととなった。
関東大震災の後には昭和の金融恐慌-、阪神淡路大震災の後には相次ぐ金融機関の破綻、負債を抱えた上場企業の倒産、都市銀行の国際金融市場での地位失墜など国内経済全般が停滞し、長期にわたるデフレの進行でいわば「平成の金融恐慌」とも言える時代をすごしたことは記憶に新しいだろう。 大地震が起きたら、自社の建物や工場が倒壊する、取引先のインフラが倒壊する、その復旧までにどのくらいの時間がかかり、費用はいくらかかるか、ここまでは想像に難くない。
最大の問題は政府の中央防災会議が指摘しているように、間接被害の発生である。 生産体制やサービス供給体制が地震発生によって一時的に停止し、当初見込んでいた売上高を達成できない、当初の拡大計画を中止せざるをえなくなるなどして、利益の低下につながる。
結果的に、企業価値の低下、資金調達力の低下、さらに企業経営が困難になるという悪循環に陥る。 したがって、大地震発生時には、できるだけ早期に事業活動を復旧し、売上や利益の低下に歯止めをかけることが大切である。
このことは、経済産業省の「事業継続計画策定ガイドライン」において、 Business Continuity Management (以下BCM)の重要性が指摘されている。 その中でBCMとは、組織を脅かす潜在的なインパクトを認識し、利害関係者の利益、名声、ブランド及び価値創造活動を守るため、復旧力及び対応力を構築するための有効な対応を行うフレームワーク、包括的なマネジメントプロセスと定義されている。
事故は起こりうるものとの前提に立ち、突発的な事故が発生した場合であっても事業を中断せず維持するために、各企業において事業継続計画を策定することが重要であるとされている。
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